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房総半島での一カ月

今年の初め、1月から2月にかけて約1ヶ月ほど、仕事の関係で
房総半島に滞在した。
首都圏で生まれ育ちながらこれまで訪れたことのなかった房総。
訪れてみて、近場に住んでいたにもかかわらずこれほどまで
素晴らしい土地に今まで足を踏み入れなかった自分を恥じた。

    最初は外房の海沿いの町鴨川に宿を取り、そこから勝浦を通り、
    徐々に内陸に向けて移動しながら江戸時代の雰囲気を残す大多喜町、
    そして太古の恵みを肌で感じることができる養老渓谷を経由して、
    最終的に房総半島のちょうど中央付近まで足を伸ばす約45kmの行程。
    仕事の内容は簡単に言えば地図を作る仕事だ。
    移動手段は徒歩(もちろん機材は車で運ぶが)、徒歩だけに
    木々一本一本まで、房総の素晴らしさを余すところなく堪能できた。

    山頂に由緒正しき清澄寺を持つ清澄山からの絶景。
    360°見渡す限りの大自然、その奥に果てしなく広がる太平洋は、
    人間なんていかにちっぽけな物かを一目で教えてくれる。

    険しい山道を抜けると突如目の前に広がる、まるで日本昔話のような景色。
    遠くに見える畑といくつかの古い民家、僅かに雲がかかった小ぶりの山々。
    こんなにのどかな光景が他にあるだろうか。

    山間を走る単線のいすみ鉄道。耳障りな踏み切りの音などない。
    聞こえるのはガタンゴトンと心地よい列車の走行音と鳥のさえずり、
    ここには何十年も変わらない風景がある。

    派手さはないが古き良き日本の日常が凝縮された房総半島、
    生涯忘れられない素晴らしい経験になった。

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